日本臨床外科医学会雑誌
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肝細胞癌副腎転移の切除経験
森田 高行藤田 美芳宮坂 祐司井上 善之田辺 達雄宮坂 史路西沢 正明堀田 彰一下沢 英二加藤 紘之田辺 達三
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1992 年 53 巻 6 号 p. 1434-1437

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抄録
肝細胞癌切除後3年7カ月目に左副腎転移をきたした症例に対し,左副腎摘出術を施行したが,その後さらに右副腎にも転移を認めた興味ある症例を経験した.
症例は65歳男性で,肝細胞癌の診断にて肝右葉部分切除術を施行された.術後約3年目のCTにて左副腎に異常腫瘤影を認め,その6カ月後には急速に増大した.同部位の穿刺組織診にて肝細胞癌の診断を得て左副腎摘出術を施行した.しかし摘出術後3カ月目のCTにて右副腎にも転移を認め,著しい増大をきたし,術後6カ月目に肺炎を併発し死亡した.
剖検報告においては副腎は肝細胞癌の遠隔転移の好発部位のひとつとされるが,臨床例の報告は極めて稀である.今回われわれは外科的切除を試みた左副腎転移例を経験したが,その治療法の選択などに関し文献的考察を加え報告した.
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