日本臨床外科医学会雑誌
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膵体尾部に浸潤した脾原発悪性リンパ腫の1例
田中 千凱大下 裕夫加地 秀樹
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1992 年 53 巻 6 号 p. 1429-1433

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抄録
患者は45歳女性で,背部痛を主訴とし, LDH3-5の上昇と,腹部CT-scan,腹部超音波検査,腹部血管造影などの画像所見より,脾原発悪性リンパ腫を強く疑って開腹した.
脾原発の腫瘍で,脾門部から膵体尾部に浸潤しており,脾門部および脾動脈周囲リンパ節の郭清を含む,脾摘,膵体尾部合併切除術を行った.病理組織学的には悪性リンパ腫, LSG分類のdiffuse large cell typeであった.
本症例はSpierらの診断基準から脾原発悪性リンパ腫と診断した.
一般に,脾破裂や他臓器浸潤例は急激に腫瘍が増大する為に,その予後は悪いとされており,本症例も術後VEPA療法を行ったが,予後は不良であった.
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