抄録
症例は2歳女子.左上腕中央部外側に2×2cmの境界明瞭な腫瘤を触知した. CT所見では内部構造が均一な円形のlow density areaを認めた.腫瘤は筋膜とは接しておらず,いわゆる茎もなく容易に摘出できた.術前に確定診断は得られず,病理所見にてはじめてガングリオンの診断を得た.本例の発生母地,発生機序を推測することはできなかった.
軟部腫瘍の診断に際し, CT scanは腫瘤の部位,大きさ,性状を検索する上で有用と思われた.
上腕皮下脂肪内に存在するガングリオンは本邦での報告はなく,稀な症例といえる.