日本臨床外科医学会雑誌
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胃癌を催吐因子として発症した特発性食道破裂の1例
板野 聡寺田 紀彦橋本 修石川 隆淵本 定儀折田 薫三
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キーワード: 特発性食道破裂, 胃癌
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1992 年 53 巻 7 号 p. 1619-1623

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抄録

今回,われわれは胃癌を催吐因子として発症した特発性食道破裂の1例を経験し,保存的治療を行い治癒せしめたので報告する.
症例は65歳男性.突然の吐血で来院.緊急CT検査と緊急内視鏡検査を行い,胃前庭部の進行胃癌と胸水を認め,胃切除術を施行した.術後食道透視にてバリウムの漏出が認められ,特発性食道破裂および特発性食道破裂に伴う胸腔内膿瘍と診断された.緊急手術後のため, intravenous hyperalimentation (IVH)と胸腔ドレナージにて保存的に治療し良好に経過した.
特発性食道破裂は,早期診断と外科的治療が原則ではあるが,本症例のような全身状態不良の場合には,保存的治療が選択されるべきと考えられた.

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