抄録
発症後12日間を経過し,膿胸を伴った特発性食道破裂の1手術例を経験した.症例は54歳,男性で発症7日後に当科に転院し,保存的治療にては膿胸腔の拡大を認めたため手術を施行した.手術は横隔膜切開を伴う左開胸,開腹下に肥厚した壁側胸膜の切除と食道破裂部位の縫合を施行し,縫合不全防止対策として縫合部を含む食道周囲を有茎大網弁により被覆した.術後経過は良好であり,食道の縫合不全,大網弁被覆部の食道狭窄,逆流性食道炎などは認めず,術後の入院期間も24日と短期間であった.すなわち,特発性食道破裂で診断遅延のため破裂部位の直接縫合時期を逸した症例に対する治療として,今回の手術術式はきわめて有用であった.