日本臨床外科医学会雑誌
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横行結腸癌による空腸結腸瘻の1例
斎藤 雄史丹羽 傅丹羽 篤朗大和 俊信内藤 明広角岡 秀彦
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1992 年 53 巻 7 号 p. 1670-1675

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抄録

結腸癌による消化管内瘻は稀な合併症であるが,最近私共は横行結腸癌による空腸結腸瘻の1例を経験した.本例は下痢を主訴とする49歳男性である.注腸造影・上部消化管造影・大腸内視鏡検査にて悪性腫瘍による空腸結腸瘻の診断を得た.術中所見では左側横行結腸に存在する手拳大の腫瘍がトライツ靱帯肛門側10cmの空腸へ瘻孔を形成していた.手術は横行結腸および腫瘤部空腸切除を施行した.組織学的には中分化型腺癌, si・n (-)・P0・H0・stage IIIであった.
本邦の結腸癌による空腸結腸瘻の報告例は自験例を含め7例あったが,リンパ節転移,肝転移,腹膜播種を認めた症例はなく,組織学的にも比較的悪性度の低い腫瘍により内瘻が形成されると考えられた.

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