日本臨床外科医学会雑誌
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腸回転異常を合併した胆管,膵同時性重複癌の1例
秋山 高儀竹川 茂加藤 真史斉藤 人志喜多 一郎小島 靖彦高島 茂樹木南 義男谷野 幹夫加藤 修
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1992 年 53 巻 7 号 p. 1693-1697

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抄録
胆管,膵同時性重複癌を有し,さらに腸回転異常を合併し,膵癌による門脈閉塞のため著明な求肝性側副血行路の形成をみた1例を経験したので報告する.症例は68歳女性.黄疸を主訴に来院した. PTCでは肝門部胆管に径2cmの狭窄部を認め, PTCDを施行した. PTCDからの胆汁および胆管擦過細胞診でclass Vが得られた. ERCPでは主膵管は膵頭部で断裂しており,血管造影では総肝動脈,脾動脈にencasementを認め,門脈は膵頭部で閉塞し肝十二指腸靱帯に沿う側副血行路の形成を認めた.手術所見では肝門部胆管に腫瘍があり,膵は全体癌で胆管切除,胆管空腸吻合術を施行した.腸管はnonrotationの状態で膵頭部,十二指腸,上行結腸はまったく後腹膜に固定しておらず,このため膵癌による門脈閉塞に伴い肝十二指腸靱帯内に著明な求肝性の側副血行路が形成されたものと推察された.病理組織所見では胆管,膵ともに高分化腺癌で重複癌と考えられた.
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