抄録
副腎皮質腺腫によるCushing症候群は,一側性,単発性によるものがほとんどである.今回われわれは両側多発性副腎腺腫によるCushing症候群の1例を経験したので報告する.症例は, 39歳女性,主訴は肥満と高血圧.中心性肥満,満月様顔貌,皮膚線条, buffalo humpを認め,内分泌学的検査,腹部CT,副腎静脈造影,副腎シンチ等の検査にて両側副腎腺腫によるCushing症候群と診断し,上腹部横切開にて両側副腎全摘術を施行した.摘出標本は,右側に15×10×10, 30×20×20mm,および左側に13×10×10mmの計3個の被膜を覆われた境界明瞭で割面黄褐色の腫瘍を認めた.病理組織では,大型のclear cellの領域と充実性のcompact cellの領域が不規則な地図状に混在しており,典型的なadenomaであった.両側副腎腺腫によるCushing症候群は本邦では自験例を含め8例と稀であり,結節性過形成との鑑別において留意すべき疾患である.