抄録
1cm以下の微小甲状腺癌の中で,甲状腺周囲組織に浸潤していた2例を経験した.症例1は41歳女性.乳房超音波検査に際して行われた甲状腺超音波検査で,右葉中部に8mm大の腫瘤が発見された.超音波ガイド下穿刺吸引細胞診で甲状腺癌と診断された.甲状腺腫瘤は触知されなかった.甲状腺右葉・峡部切除を行ったが,気管面に腫瘍の遺残が認められた.気管粘膜を残して, 2気管輪の部分切除を行った.病理学的診断では硬化癌で,気管軟骨の近傍に腫瘍の浸潤が確認された.症例2は46歳女性.乳房超音波検査に際して行われた甲状腺超音波検査で両葉に腫瘤が発見された. 3年後に行われた左葉中部腫瘤の超音波ガイド下穿刺吸引細胞診でclass IIIとされた.甲状腺左葉に1cm大の結節を触知した.甲状腺左葉切除と右葉結節の核出を行った.病理組織学的診断は5mm大の硬化癌で,甲状腺周囲の脂肪組織に浸潤を認めた.