日本臨床外科医学会雑誌
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両側乳腺原発悪性リンパ腫の1例 -本邦報告例155例の検討-
久保 章伊東 重義山内 毅鈴木 良人
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1992 年 53 巻 8 号 p. 1848-1852

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抄録
乳腺原発悪性リンパ腫は本邦で155例とまれであるが,両側発症例は33例とさらにまれである.われわれは同時性両側乳腺原発悪性リンパ腫を経験した.
症例は65歳,女性.両側乳房腫瘤を主訴に来院した. mammography, echographyを施行し,両側乳癌を疑いexcisional biopsyを施行した.病理組織学的所見は,悪性リンパ腫LSG分類のdiffuse lymphoma, medium sized cell typeで, Rappaport分類ではpoorly differentiated, lymphocytic, diffuse typeであり, B cell typeであった.術前の全身検索では異常所見を認めず乳腺原発と診断した.以上の所見より両側の非定型的乳房切断術を施行した.リンパ節転移はなく,病期は両側ともAnn Arbor分類のstage IIE-Aと診断した.術後, VEMP療法を4クール施行した.現在, 4年3カ月経過したが,再発の所見も認めず健在である.
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