日本臨床外科医学会雑誌
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嚢胞内への出血を来し巨大な腫瘤を形成した乳癌の1例
前川 宗一郎下田 倖嗣古山 正人池尻 公二竹尾 貞徳市吉 裕二朔 元則吉田 尊久
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キーワード: 乳癌, 巨大嚢胞, 出血
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1992 年 53 巻 9 号 p. 2091-2094

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抄録
今回われわれは乳腺嚢胞症に乳癌が合併し,腫瘍血管が嚢胞内に破錠して出血し,巨大な嚢胞を形成した興味ある1例を経験した.症例は42歳女性,急激に増大した左乳房の出血性腫瘤を主訴として当院に入院した.腫瘤は11×15cmで,皮膚糜爛から黒赤色の血液の漏出を認め, CTおよび超音波検査では腫瘤の殆どが嚢胞性成分で,胸壁側に一部充実性の部分が認められた.また,嚢胞穿剰により約400ccの古い血性液が吸引された.手術は非定型的乳房切除術を施行し,病理組織検査では,腫瘤の殆どが壁を有する真性嚢胞で,嚢胞の頭側皮膚側と胸壁側に乳頭腺管癌が認められた.癌の嚢胞内浸潤部位には血管が露出しており,これからの嚢胞内への出血が疑われた.乳腺嚢胞症の女性が乳癌になる確率は,そうでない人の2~4倍高いといわれているが,このように,巨大な嚢胞を形成した症例の報告は,われわれが検索した範囲では見当たらず,非常に興味深い症例であると考えられた.
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