日本臨床外科医学会雑誌
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大動脈-下大静脈瘻をきたした破裂性腹大動脈瘤の1例
岩塚 靖桜井 恒久久世 真悟近松 英二牧 篤彦松下 昌裕池澤 輝男矢野 孝
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1992 年 53 巻 9 号 p. 2104-2107

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抄録
大動脈-下大静脈瘻は,大動脈瘤のまれな合併症の1つであり,時に循環動態に大きく影響を及ぼす.今回われわれは,腹大動脈瘤が下大静脈へ破裂し,大動脈-下大静脈瘻をきたした症例を経験したので報告する.
症例は, 68歳男性,心不全に伴う急激な全身倦怠感が主訴である.腹部に拍動性腫瘤を認め,腫瘤の右側にthrill,血管雑音を認めた.造影CTにて明瞭な瘻孔形成の所見が得られたため,大動脈-下大静脈瘻と診断した.
瘻孔は大動脈瘤内より縫合閉鎖し, Y型ダクロングラフトにて血行再建を行った.
脈圧の増大, CVPや心拍出量の高値,頻脈は術後に速やかに改善された.
大動脈-下大静脈瘻の確定診断は通常,血管造影を必要とするがCTは大動脈瘤の診断に有用であるばかりでなく,大動脈-下大静脈瘻を証明し得る.
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© 日本臨床外科学会
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