抄録
原発性小腸癌は,近年その報告例が増加しているが,比較的稀な疾患である.われわれはその1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
症例は37歳の女性で,主訴は嘔気,嘔吐であった.小腸追跡,および腹部超音波検査で小腸癌と診断し,手術を施行した.腫瘍はトライツ靱帯より約40cmにあり,全周性の狭窄を呈していた.小腸部分切除,リンパ節郭清,空腸端々吻合を行った.リンパ節転移,遠隔転移は認めなかった.
本症例では,症状出現より確定診断まで, 5カ月を要している.消化管の閉塞症状のある時はもちろん,腹部の不定愁訴があったり,便潜血が陽性の場合は,小腸腫瘍も考え,検査を進めるべきである.