抄録
症例は14歳女子で主訴は水様性下痢及び両下肢浮腫,注腸・大腸内視鏡検査にて直腸に全周性のIIa集簇様隆起性病変を伴った大腸多発性ポリープを認め,著明な低蛋白血症 (TP 3.7g/dl), IgG低値・α1-アンチトリプシンクリアランスの増加と99mTc-HSAシンチグラムにおいて直腸からS状結腸にかけてアイソトープの漏出が証明された.以上より蛋白漏出性胃腸症を伴った大腸多発性ポリープと診断した.本症における大腸病変は異型性の軽い腺管腺腫であったが,肉眼的にはいわゆるIIa集簇様病変であり高い癌化率を認めるとされる形態であったことと,蛋白漏出性胃腸症も合併していたことより,若年者ではあるが直腸・S状結腸切除術を施行した.この症例につき文献的考察を加えて報告する.