日本臨床外科医学会雑誌
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イレウス管が誘因と考えられた成人型小腸腸重積症の2例
渡辺 透池谷 朋彦高橋 英雄佐々木 正寿魚津 幸蔵長谷川 洋関川 博
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キーワード: イレウス管, 腸重積
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1994 年 55 巻 4 号 p. 927-930

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抄録

イレウス管が誘因と考えられた成人型小腸重積の2例を報告する.症例1は, 46歳女性で子宮筋腫手術1年後にイレウスになり,イレウス管挿入し1週間保存的治療を行ったが改善が見られず,手術(癒着剥離術)を行った.術後も減圧目的でイレウス管. 4日間挿入していた.第7病日目に嘔吐し,腹部超音波検査で小腸重積と診断し, Hutchinson手技にて整復した.症例2は, 59歳男性で出血性胃潰瘍にて胃全摘術2年後イレウスになった.イレウス挿入し,保存的治療後手術(癒着剥離術)を行った.術後もイレウス管を留置し管理していたが,第7病日目に汎発性腹膜炎の状態となり手術を施行した.回腸末端に腸重積を認め,腸切除を行った.イレウス管を吸引療法や術後イレウスの防止目的に使用する場合には,本症の併発を考慮に入れた厳重な観察が必要と考えられた.以上本邦報告例の検討と若干の文献的考察を行い報告した.

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