日本臨床外科医学会雑誌
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内視鏡的硬化療法後の血中ヘモグロビンの変動について
渋谷 進高瀬 靖広河島 孝彦
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1994 年 55 巻 5 号 p. 1083-1087

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抄録

硬化療法後の腎機能障害の原因の1つとして,硬化剤にて溶血した遊離ヘモグロビンが考えられる.そこで,今回,硬化療法後の溶血を総ヘモグロビン,遊離ヘモグロビンおよび遊離ハプトグロビンの変動から検討した.対象は静脈瘤内注入群7例と組織内注入群6例である.静脈瘤内注入群では治療1時間後の血中総ヘモグロビン値および遊離ヘモグロビン値は治療前に比べて,有意に増加したが,とくに遊離ハプトグロビン値が低値である場合には遊離ヘモグロビン値が増加した.一方,組織内注入群では治療後の血中総ヘモグロビン値,遊離ヘモグPビン値および遊離ハブトグロビン値は治療前に比べて,有意な変動がなかった.また,静脈瘤内注入群では硬化剤注入量と治療前後の血中総ヘモグロビン値の差に高い相関がみられた.そこで,静脈瘤内注入量が多量で,血中遊離ハプトグロピン値が低値である症例では,治療前または中にハプトグロピンを投与した方がよいと思われた.

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