1994 年 55 巻 5 号 p. 1088-1093
1. 当科に於ける肝硬変合併食道癌手術例は11例で,うち肺合併症5例 (45%), 縫合不全5例 (45%), 術後出血2例 (18%) を認め, 5例 (45%) が在院死亡した. 2. 術前検査成績による術後合併症発生の予測は,単独項目では難しいが,複数項目による総合判断である程度可能であることが示唆された. 3. 術式においては,胸壁前経路による再建および胸管を温存することが重要と考えられた. 4. 術後は,早期よりの経腸栄養と新鮮凍結血漿の大量投与が有用と思われた.