日本臨床外科医学会雑誌
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Von Recklinghausen's neurofibromatosisに合併した原発性副甲状腺機能亢進症の1例
桐山 正人松下 昌弘秋山 高儀冨田 冨士夫喜多 一郎高島 茂樹松能 久雄武川 昭男
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1994 年 55 巻 5 号 p. 1153-1157

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抄録

神経線維腫症に合併した原発性副甲状腺機能亢進症の稀な1例を経験したので報告する.患者は31歳,女性で,腰痛・股関節痛を主訴に来院した.現症では体表面にcáfe-au-lait spotと多発性の神経線維腫を認め,同時に頸部右側に拇指頭大で表面平滑,弾性軟,辺縁明瞭な腫瘤を触知した.検査所見では血清カルシウムの上昇,リンの低下,アルカリフォスファターゼ,および副甲状腺ホルモンの著明な上昇がみられた.画像診断では右側下部の副甲状腺腫瘤が示唆され,骨X線像で骨盤・大腿骨の骨膜下吸収像がみられた.以上より,神経線維腫症に合併した副甲状腺機能亢進症と診断し,副甲状腺腫瘤切除術を施行した.組織学的には副甲状腺腺腫の診断が得られた.副甲状腺機能亢進症と神経線維腫症との合併は非常に稀ではあるが,多内分泌腺腫瘍との関係を示唆する報告もあり,貴重な症例と考えられたので報告した.

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