抄録
食道血管腫の1例を経験したので報告する.症例は64歳,男性.スクリーニング検査のため食道内視鏡検査を施行したところ切歯列より26cmに径2cm大の青紫色の隆起性病変を認めた.食道造影検査では,境界明瞭な陰影欠損像を呈した. Magnetic Resonance Image (MRI) では, T1強調画像では周囲筋肉組織と比べてiso intensityに, T2強調画像ではきわめてhyper intensityに描出された.生検診断は施行されなかったが,以上の特徴的な画像所見より食道血管腫と診断された.治療は腫瘍核出術が施行され,病理診断はcavernous hemangiomaであった.これまで食道血管腫はきわめて稀とされてきたが,内視鏡検査の普及により今後は遭遇する機会が増加すると考えられ,本邦でのこれまでの報告例をもとに文献的考察を加え報告した.