抄録
著明な石灰化を伴った食道平滑筋腫の1例を経験した.
症例は65歳男性.1993年7月,健診にて食道に圧排変形を指摘され当科入院となった.食道造影,内視鏡検査にて気管分岐部直下の食道前壁を中心に長さ3cmの隆起性病変を認めた.食道造影,CTにて病変部に一致して塊状の石灰化も認められた.超音波内視鏡検査では固有筋層由来の腫瘍が疑われた.腫瘍核出術を施行.摘出標本は硬く鞍状で大きさ4×3×1.5cmであった.病理組織学的検査で平滑筋腫と診断された.
石灰化を伴った食道平滑筋腫の本邦報告例は20例あったが,その発生部位は特徴的であり20例中9例が気管分岐部近傍の食道前壁に発生していた.