日本臨床外科医学会雑誌
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術後2年目頃より再発を疑い,9年目に切除しえた食道平滑筋肉腫の1例
中島 仁一山下 潤中谷 勝紀澤田 秀智中野 博重
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1995 年 56 巻 1 号 p. 65-70

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抄録
食道悪性腫瘍の中でも比較的稀な平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.症例は59歳の女性.昭和59年8月上部食道に発生した平滑筋腫にて腫瘤摘出術を受けていたが,術後2年が経過した頃より再び嚥下困難が出現し,症状軽快しないため,術後9年の平成4年4月当院受診となった.精査にて,前回の腫瘍の局所再発と診断し,入院の上,食道抜去術を施行した.腫瘍はCe~Iu領域径3cm大の境界明瞭な充実性腫瘤で,組織学的にlow grade malignantな平滑筋肉腫と診断した.パラフィン包埋標本からのFlow Cytometryによる核DNA量の解析を行ったところ,初発時にはaneuploidyであったのに対し,再発時にはdiploidyであった.以上,食道平滑筋肉腫の再発の1例を,本邦報告88例の集計結果を含めて報告する.
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