日本臨床外科医学会雑誌
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特発性上~中部食道破裂の1治験例
安元 健二岩本 元一星子 勝川畑 眞治平山 長一朗掛川 暉夫
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キーワード: 特発性食道破裂
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1995 年 56 巻 2 号 p. 322-326

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抄録
発生部位として稀な上~中部食道における特発性食道破裂の1例を経験したので報告する.症例は,30歳,女性.重度の呼吸困難を主訴として当院を救急受診した.食道造影で気管分岐部の上~中部食道より左胸腔内への造影剤漏出を認め,食道破裂による膿胸の診断の下に持続胸腔ドレナージや高カロリー輸液を中心とした保存的治療を行い,第21病日に破裂部の創閉鎖を確認した.特発性食道破裂の誘因としては,下部食道では飲食の関連した嘔吐が大部分であり,それより高位の破裂では憩室や潰瘍などの前駆病変の存在が指摘されている.本症例は飲食との関連が無いばかりか,以前受けた上部消化管造影検査で食道に異常所見を指摘されておらず,まさしく“特発性”の名にふさわしい症例であると考えられた.
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