近年FRPによるモノが、環境への懸念とともに素材が見直されつつある中、それに変わるポリプロピレン等のプラスチック素材で、代用されるものも多くみられるようになった。ただ、やはりプラスチックなので、最終的にリサイクルされないものは、どうしても土に還すことのできないゴミとなってしまう。そこでその現実を踏まえ、生活のベースともなるイスの素材に着目し、なるべく環境に負荷を与えない素材を使うことができたとしたら、他の目的をもった自由曲面のモノや、より多くの生活道具に対応することが可能であるという推測のもと、本研究を始めた経緯がある。そして、私達日本人の素材への意識と、これからの時代に適合した素材との調和を今回の要と位置づけ、新しい人と道具のあり方を提唱することを目的とした。