日本臨床外科医学会雑誌
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術後急性胆嚢炎の重症度と治療方針に関する臨床的検討
鈴木 弘治宮崎 卓哉笠原 彰夫奥川 保森永 聡一郎蓮尾 公篤小野寺 誠悟野口 芳一山本 裕司今田 敏夫天野 富薫松本 昭彦
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1995 年 56 巻 4 号 p. 702-707

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抄録

1980年から1992年までに当科で経験した術後急性胆嚢炎22例を重症例と軽症例に分類し,重症度の差による術後急性胆嚢炎の臨床的特徴について検討した.
術後急性胆嚢炎の重症例は11例認められ,これら重症胆嚢炎症例は原疾患手術後に胆嚢炎以外の重篤な合併症を伴ったものが多く,高齢者に高率に見られた.また原疾患別では消化器癌より心血管疾患に重症胆嚢炎が多かった.重症胆嚢炎11例中死亡例は5例であり,胆嚢摘出術,胆嚢外瘻,保存的治療とも死亡率50%であった.PTGBDは1例のみであったが治癒し,軽症胆嚢炎はほとんど保存的治療で治癒した.重症の術後急性胆嚢炎は原疾患手術後に重篤な合併症を伴ったものや高齢者など抵抗力の弱った状態に多く発症するため,早急に重症度を判定し,重症胆嚢炎にはPTGBDなどのより侵襲の少ない治療法を選択することが重要である.

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