1995 年 56 巻 4 号 p. 708-712
症例は64歳女性,肛門癌のためMiles手術をうけ,その際に施行された輸血(保存血400ml)により,輸血後移植片対宿主病(TA-GVHD)に罹患した.輸血後10日目より高熱が持続し,紅皮症となり汎血球減少を併発し輸血後21日目に死亡した.本患者には免疫不全症はなく,輸血量も少量である極めて稀な症例と考えられる.確定診断はHayakawaらの方法により未梢血中のキメラ現象を, Y染色体陽性のリンパ球より確認した.この方法は検査時間が短く正確であり,患者が女性の場合には極めて有効である.