日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
Y染色体特異遺伝子を用いて輸血後GVHDを証明しえた肛門癌の1症例
大石 均岡村 教生山崎 猛依光 好一郎東野 廣也高橋 知秀中村 陽一高野 靖悟岩井 重富田中 隆早川 智馬場 真澄
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 56 巻 4 号 p. 708-712

詳細
抄録

症例は64歳女性,肛門癌のためMiles手術をうけ,その際に施行された輸血(保存血400ml)により,輸血後移植片対宿主病(TA-GVHD)に罹患した.輸血後10日目より高熱が持続し,紅皮症となり汎血球減少を併発し輸血後21日目に死亡した.本患者には免疫不全症はなく,輸血量も少量である極めて稀な症例と考えられる.確定診断はHayakawaらの方法により未梢血中のキメラ現象を, Y染色体陽性のリンパ球より確認した.この方法は検査時間が短く正確であり,患者が女性の場合には極めて有効である.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top