日本臨床外科医学会雑誌
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腹腔内再発を4回切除し長期生存中の胃平滑筋肉腫の1例
長田 真二種村 廣巳大下 裕夫
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キーワード: 胃平滑筋肉腫
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1995 年 56 巻 4 号 p. 723-727

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抄録

61歳女性.左上腹部腫瘤を触知し来院.消化管検索にて,中心壊死を伴った胃外発育型平滑筋肉腫を診断し, 1986年6月16日胃部分切除を行った.なお,リンパ節郭清は行わなかった.腫瘍は26×23×6cm大で1,570gであり,薄い被膜を認め,組織学的にも平滑筋肉腫と診断された.初回手術より6年6カ月の間に,まず胃近傍における再発を初めとして以降3回の腹腔内再発を来した.最初の再発に対して胃幽門側切除,膵体尾脾切除,横行結腸切除,空腸部分切除を行い,以後腫瘍切除術, S状結腸切除術,空腸部分切除術を施行した.すべての再発巣は組織学的にも平滑筋肉腫と診断された.再発の原因として手術操作による腫瘍散布が推察された.切除可能な腹腔内再発に対して積極的な外科的切除を行うことで,予後の改善が期待されると考えられた.

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