日本臨床外科医学会雑誌
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早期胃癌と重複した原発性胃悪性リンパ腫の1例
遠藤 正人川村 功宮沢 幸正佐久間 洋一児玉 多曜長尾 孝一
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1995 年 56 巻 4 号 p. 728-731

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抄録

早期胃癌に重複した原発性胃悪性リンパ腫の極めてまれな1例を経験し,術後化学療法を施行し,良好な経過をえたので報告する.患者は76歳,男性.住民検診にて胃腫瘍を指摘され,精査目的に入院となった.上部消化管内視鏡検査,生検にて前庭部前壁側中心のBorrmann 2型胃癌と診断し幽門側胃切除を施行した.病理組織学的所見にて, IIcの粘膜下組織に浸潤を示す中分化腺癌とdiffuse type, B cell typeのnon-Hodgekin悪性リンパ腫の同時性重複癌と診断された.術後化学療法として悪性リンパ腫に対してCHOP療法を1クール施行した.また胃癌に対しては, doxifluridineを経口投与をした.術後経過は良好で術後3年6カ月再発をみず健在である.良好な転帰をえるためには,癌腫とリンパ腫の進行度を十分に考慮した手術療法ならびに化学療法,放射線療法の併用による集学的治療が有用であると考えられた.

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