日本臨床外科医学会雑誌
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進行胃癌と有茎性胃外性胃平滑筋肉腫が併存した1例
板野 聡寺田 紀彦橋本 修松川 啓義吉村 平
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1995 年 56 巻 4 号 p. 732-736

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抄録

進行胃癌と有茎性に胃外性発育した胃平滑筋肉腫が併存した稀な症例を経験したので報告する.症例は心窩部痛を主訴とする62歳の男性.胃透視と胃内視鏡検査にて,前庭部後壁の進行癌(高分化腺癌)と診断され,手術目的にて入院した.術前のCT検査で,体部大蛮の壁外に腫瘤を認めたが,リンパ節転移と診断された.手術は胃亜全摘術(D2)が行われ,術後の組織学的検討でこの腫瘤は有茎性に胃外性発育した固有筋層由来の平滑筋肉腫と診断された.胃癌と胃平滑筋肉腫が独立して併存する報告例は,本邦では28例にすぎず,また,有茎性に胃外性発育した胃平滑筋肉腫については本邦報告は8例と少なく,稀な症例と考えられた.患者は,現在術後6年を経過して再発なく健在で,外来にて経過観察中である.

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