日本臨床外科医学会雑誌
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胃,小腸に多発進行病変を認めた消化管原発悪性リンパ腫の1例
夏目 俊之望月 衛森田 章夫阿部 裕九里 孝雄新井 元順
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1995 年 56 巻 4 号 p. 767-771

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抄録

胃,空腸,回腸に多発進行病変を認めた消化管原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は62歳,男性.主訴は心窩部痛.胃内視鏡検査にて胃体中部大彎にBorrmann 3型病変を認め,胃癌の術前診断がなされた.開腹時に胃,空腸,回腸に多発進行病変を認め,胃亜全摘術と小腸部分切除術が施行された.病理組織学的検索で,病変は,非ホジキンリンパ腫びまん性大細胞型,B細胞性リンパ腫と診断した.なお,リンパ節転移は認めなかった.消化管原発悪性リンパ腫は解剖学的に異なる2臓器以上にわたり多発することは極めて稀である.自験例は,消化管原発悪性リンパ腫の進展を考える上で,興味深い.

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