日本臨床外科医学会雑誌
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虫垂癌の2手術例
松永 浩明泉 泰治原 裕介
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1995 年 56 巻 4 号 p. 776-779

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抄録

虫垂癌は極めて稀な腫瘍である.今回われわれは,虫垂炎様症状を契機にして発見された虫垂癌の2例を経験した.症例1は70歳,女性.注腸検査にて虫垂の中断像,CTにて腹部全体に腹水がみられた.開腹時虫垂は先端で破裂し骨盤腔は粘液物質で充満し虫垂切除術,大網切除術,粘液除去を施行.病理組織学的には虫垂粘液嚢胞腺癌による腹膜偽粘液腫と診断された.症例2は67歳,男性.注腸検査にて虫垂は造影されず回盲部の伸展不良が見られ,CTにて回盲部に腫瘤様陰影が認められた.開腹時,回盲部~上行結腸は後腹膜に癒着し回盲部周囲に膿瘍を形成し右半結腸切除術を施行.切除標本にて虫垂開口部に絨毛状腫瘍があり,病理組織学的に高分化虫垂腺癌と診断された.虫垂腫瘍は稀な疾患であるが虫垂炎治療に際しては念頭に置く必要がある.

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