日本臨床外科医学会雑誌
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再発後下大静脈腫瘍塞栓および肝転移が出現した直腸カルチノイドの1例
杉下 岳夫高田 厚田中 一成山下 宏治
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1995 年 56 巻 4 号 p. 780-783

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抄録

直腸カルチノイドは近年発見されることが多くなっているが,再発転移例の報告は末だ少ない.今回われわれは,再発後下大静脈腫瘍塞栓および肝転移が出現した直腸カルチノイドを経験したので報告する.
症例は84歳女性で,下部直腸から肛門管にかけての大きさ0.6cm,潰瘍限局型の直腸カルチノイドであった.術後13カ月で骨盤内に再発し,その後下大静脈腫瘍塞栓および肝転移が出現した.
直腸カルチノイドの小さい病変,あるいは深達度の浅い病変は内視鏡的切除や局所切除により治療することができ予後は良いが,本例のような進行例は根治手術を行っても予後がきわめて悪い.

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