日本臨床外科医学会雑誌
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2度にわたり腸重積症をきたした異時性大腸癌の1例
斎藤 典才古田 和雄横山 隆原 和人
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キーワード: 大腸癌, 腸重積症
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1995 年 56 巻 4 号 p. 784-788

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抄録

われわれは2度にわたり大腸癌による腸重積症をきたした極めて稀な症例を経験したので報告する.症例は88歳男性,6年前にS状結腸癌による逆行性腸重積症にて当院で手術を施行,組織学的にはcancer in villous adenomaで,大きさは4.5×3.5cm,深達度はm,リンパ節転移は認められなかった.
その後良好に経過していたが,今回下痢を主訴に当院受診,US,CT,内視鏡検査にて上行結腸癌による腸重積症を疑い手術を施行,回腸一結腸型の腸重積を伴う上行結腸癌で,組織学的にはmoderately differentiated adenocarcinomaであった.本症例が腸重積症を2度もおこした原因は,非全周性の隆起型病変であること,病変の大きさに比し壁深達度が少ないこと,病変の発生部位が移動性の大きい腸管であったことなどが考えられた.

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