日本臨床外科医学会雑誌
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リンパ節転移を認めた肝細胞癌切除5例の検討
若林 久男宮内 章充国土 泰孝濱本 勲壺内 泰二郎岡田 節雄前場 隆志前田 肇
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キーワード: 肝細胞癌, リンパ節転移
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1995 年 56 巻 4 号 p. 789-793

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抄録

肝細胞癌は,剖検例では高頻度にリンパ節転移を認めるが,手術例においてはその頻度はわずか2.1%ときわめて低い.したがってリンパ節転移を高頻度に認める胆管細胞癌と異なり,肝細胞癌では手術時のリンパ節転移の様相やその郭清の意義について論じた報告は少ない.今回われわれは,肝細胞癌で手術時にリンパ節転移を認めた4例と,術後リンパ節再発をきたした1例について臨床病理学的に検討した.その結果,肝原発巣はT3またはT4の進行症例で,リンパ節転移は3例において系統的近位所属リンパ節を経由しない,遠位リンパ節の孤立性の転移であった.このような症例にあっては少数のリンパ節転移であれば,局所的リンパ節郭清により根治性が高められると考えられた.また原発巣と転移巣の核DNA量の検討で,転移巣ではaneuploid型が多い傾向があった.予防的リンパ節郭清は症例ごとに慎重に考慮されねばならない.

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