1995 年 56 巻 4 号 p. 794-798
最近の4年6カ月間に橋本市民病院外科で手術を施行した胆石症151例中3例,2.0%に副肝管を合併していた.いずれも右副肝管で,2例はこれに胆嚢管が開口し,他の1例は単独で総肝管に開口していた.3例ともこれを損傷することなく胆嚢を摘出し得たが,胆嚢管が副肝管に開口する1例では胆嚢合流部結石を合併しており,合流部結石の定型的手術で副肝管を形成しこれを温存した.
accessory bileductのaccessoryは本来機能,構造の重複を意味するので,以上の3症例のように特定の肝区域,亜区域から胆汁をドレナージする肝管であれば,異所性を意味する“aberrant” bileductの立場から温存するのが正しいと思われる.
腹腔鏡下胆嚢摘出術が普及している現在,このような胆道走向異常のあることを認識し,個々の症例の解剖を把握したうえで手術操作を進めることが肝要である.