原発性硬化性胆管炎(Primary Sclerosing Cholangitis,以下PSC)による高度の総胆管狭窄に対し,胆道再建を行った症例を経験したので報告する.症例は70歳男性,黄疸を主訴として来院した.内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)では総胆管に壁不整および高度の狭窄像を認め,さらに肝内胆管の嚢状,枯枝状の変化を認め,画像上PSCと診断したが,血中および胆汁中CA19-9は高値であり,胆管癌の可能性も考慮し手術を施行した.総胆管の迅速病理検査では悪性所見はなく,炎症性の所見であり胆嚢切除,総胆管切除及び総肝管空腸吻合術を行った.総胆管狭窄部の病理組織診断は慢性胆管炎,肝生検では,線維化を伴った肝硬変の所見が認められ,既往に胆道系の手術歴や結石症のない事からPSCと診断した.