日本臨床外科医学会雑誌
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腹部超音波検査にて経時的変化を観察しえた総胆管隔壁症の1例
高松 督中村 宏遠藤 光夫杉原 国扶中村 隆
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キーワード: 総胆管隔壁症
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1995 年 56 巻 4 号 p. 805-810

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抄録

総胆管隔壁症は,本邦での報告が10数例というきわめてまれな疾患である.今回われわれは,腹部超音波検査で経時的な変化を観察することができた総胆管隔壁症を経験した.症例は,48歳男性.4年前に右季肋部痛が発現し,以後黄疸が時折出現していた.腹部超音波検査,経皮経肝胆道造影にて良性の総胆管狭窄として経過観察していたところ,1991年4月再び右季肋部痛が出現し,腹部超音波所見で狭窄が強くなっていたため手術を施行した.術中胆道鏡の所見では,総胆管内には,結石,腫瘍等はなく,総胆管壁からせりだしてきたと思われる隔壁様のものでほぼ完全に閉塞しており,術中迅速病理検査で,悪性疾患が否定されたため,総胆管切除,肝管空腸吻合術を施行した.切除標本の病理組織検査で,粘膜下の膠原線維の著明な増生を認め,病理組織学的に総胆管隔壁症と診断された.

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