日本臨床外科医学会雑誌
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成因が異なった脾動脈瘤の2例
梅原 靖彦大久保 忠俊佐野 佳彦坂元 隆一中村 利夫土屋 泰夫長渡 裕子森山 龍太郎
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1995 年 56 巻 4 号 p. 816-819

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抄録

成因が異なる脾動脈瘤を2例経験した.症例1は48歳,男性.左上腹部痛を主訴に来院した.腹部CTで膵体部背側に6×4.8cmの内腔に造影剤の貯留を伴う腫瘤を認め,腹部血管造影検査では脾動脈幹に2.2×1.9cmの動脈瘤が認められた.手術は脾動脈瘤を含む膵体尾部切除,脾摘術を施行した.病理組織所見は動脈硬化に起因し膵内に破裂した仮性動脈瘤であった.症例2は37歳,女性.他院にて嚢胞腎の精査中,腹部血管造影検査にて脾動脈幹と脾門部にそれぞれ0.8×0.7cm, 2×1.7cmの動脈瘤を認めた.手術は脾動脈切除及び脾摘術を行った.病理組織所見は動脈硬化を伴わない真性動脈瘤であった.左上腹部痛を伴う疾患の鑑別診断の際,本症も考慮すべきであり,治療方針の決定には腹部血管造影検査が有用である.

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