日本臨床外科医学会雑誌
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ループスネフローゼを伴い特発性腹膜炎と急性肺胞出血をきたし救命しえた1例
宮治 正雄生越 喬二近藤 泰理田島 知郎三富 利夫遠藤 正之
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1995 年 56 巻 4 号 p. 824-829

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抄録

ループスネフローゼを伴い稀な特発性(原発性)腹膜炎を呈し,術後早期に重篤で極めて稀な急性肺胞出血をきたし集中治療にて救命しえた1例を経験した.症例は,35歳女性,平成1年12月より顔面皮疹浮腫,発熱,手指関節痛出現,活動性のSLE,ネフローゼ症候群の診断で1月19日入院,Predonisolon 40mg/日が開始された.入院時より腹痛が存在し,その後増強,汎発性腹膜炎の診断で1月21日緊急手術を施行した.開腹所見は,膿性腹水約600CCあったが明らかな消化管穿孔,虫垂炎や虚血性腸炎等の所見はみられず,特発性腹膜炎と診断した.術後2日目から気管内吸引より鮮血が引けるようになり,胸部X線上両側肺の陰影が急速に広がった.SLEに極めて稀におこり重篤な病態とされる急性肺胞出血と判断, PEEP,ステロイドのパルス療法施行,徐々に肺出血がコントロールされるようになった.急性肺胞出血に対するPEEPによる集中呼吸管理とステロイドのパルス療法の重要性が示唆された.

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