日本臨床外科医学会雑誌
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腹腔内臓器に発生した神経鞘腫の2例
平野 聡加藤 紘之西部 俊哉高橋 利幸道家 充奥芝 俊一下沢 英二
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1995 年 56 巻 4 号 p. 840-845

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抄録

腹腔内臓器に発生した神経鞘腫の2例を経験したので若干の文献的考察を含め報告する.
症例1は40歳,女性.9年前に頸髄腫瘍,8年前に胸部交換神経節,右腕神経叢腫瘍の腫瘍摘出術を受け,いずれも悪性神経鞘腫の診断であった.今回,CTにて肝門部および後腹膜腔に腫瘤陰影を指摘され入院.腫瘤摘出術を施行し,組織学的にS-100蛋白免疫染色陽性であり良性神経鞘腫の診断であった.
症例2は59歳女性.右胸腔内腫瘤を指摘され入院.精査にてさらに腹腔内に胃・膵と境界不明瞭な腫瘤を認めた.手術は尾側膵切除・胃全摘,右肺部分切除を行い,それぞれの腫瘤を摘出し得たが,約6カ月後に多発肝転移をきたした.組織学的に膵原発,肺転移を伴った悪性神経鞘腫であり,S-100蛋白染色陰性であった.

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