日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
腸腰筋膿瘍の1治験例
柚木 靖弘三宅 三喜男中川 秀和石塚 真示中郷 実雄Miao LIU才野 進折田 薫三
著者情報
キーワード: 腸腰筋膿瘍, 急性虫垂炎
ジャーナル フリー

1995 年 56 巻 4 号 p. 846-850

詳細
抄録

今回われわれは興味ある経過をたどった急性虫垂炎に伴う腸腰筋膿瘍の1例を経験したので報告する.症例は61歳・男性.発熱と右側腹部痛を主訴に来院した.来院時の腹部所見は急性虫垂炎と考えるには非特異的であったため,右側結腸憩室炎として保存的に加療した.その後も計3回同様の症状にて来院し,その都度保存的に加療し軽快しえた.5回目に同様の症状を訴え来院した際の腹部所見も急性虫垂炎と考えるには非特異的であったため右側結腸憩室炎として保存的に加療した.その後自覚症状は軽快したが,炎症反応の増悪と腹部CTにて腸腰筋膿瘍が指摘されたため開腹術を施行し急性虫垂炎に伴う腸腰筋膿瘍と診断された.近年急性虫垂炎により腸腰筋膿瘍を形成する事は稀であり,最近の10年間での報告は1例に過ぎない.本症例の経過・治療につき若干の文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top