1995 年 56 巻 8 号 p. 1632-1636
内翻Meckel憩室を先進部とした成人腸重積症の1例を経験したので報告する.
症例は51歳,女性. 1993年7月頃より時々腹痛を認め,同年, 9月25日,腹痛は仙痛様,間歇的となり来院した.腹部所見では,右下腹部に圧痛を有する15×8cm大のソーセージ様腫瘤を触知し,腹部超音波検査,CT検査にて重積した腸管像が認められた.腸重積の診断にて開腹すると,回腸・結腸型の腸重積症であり,用手的整復できず,右半結腸切除,回腸部分切除を行った.摘出標本では,内翻したMeckel憩室が先進部であった.病理所見では,憩室壁に幽門腺組織を含む胃粘膜を認めた.術後経過は良好で,術後22日目に退院した.
本邦報告例22例に自験例を加えた23例の集計に基づき,臨床像につき考察を加える.