日本臨床外科医学会雑誌
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残胃の癌切除例の臨床的検討
石後岡 正弘平尾 雅紀山崎 左雪樫山 基矢原 隆志河島 秀昭細川 誉至雄
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1996 年 57 巻 10 号 p. 2380-2383

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抄録

残胃の癌を初回病変とは無関係に発生したと思われる初回術後5年以上経過した症例と定義し,経過年数10年未満を短期群8例, 10年以上を長期群8例に亜分類して比較検討した.その結果初回病変が胃潰瘍は長期群の3例のみでうち2例はB-II再建であり,胃癌13例中12例は早期癌.長期群は短期群に比し,初回切除時年齢が若く,残胃の癌において有症状者が多く,進行癌が多い傾向にあったが他の病理学的所見および発生部位に差はなかった.両群ともstage IVが1例ずつあり再発死亡したが,他はすべてstage II以下で根治術が施行され,全例生存中で予後良好であった.以上より残胃の癌の早期発見が治療成績向上に重要であり,そのためには長期にわたっての定期的な内視鏡検査と胃切除後患者に対する積極的follow upも必要と考えられた.

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