日本臨床外科医学会雑誌
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心膜嚢腫の3例
金沢 成雄村上 泰治正木 久男森田 一郎田淵 篤石田 敦久
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1996 年 57 巻 10 号 p. 2433-2437

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抄録

症例1は63歳男性.近医にて胸部異常陰影を指摘され,穿刺排液を施行されたが再発したため,当科入院.胸部X線, CT検査で心膜嚢腫と診断し,後側方開胸術を施行.嚢腫は横隔膜,心嚢,右前胸壁に接して存在し,心嚢内への交通は認めなかった.症例2は58歳女性.健診で胸部異常陰影指摘され,当科入院.胸部X線, CT検査で縦隔腫瘍を疑い,胸骨正中切開で入ると右室後面に嚢腫状腫瘤を認め,心膜と有茎性に連結していた.症例3は48歳女性.健診で胸部異常陰影を指摘され,当科入院.胸部X線, CT検査で心膜嚢腫と診断,後側方開胸術を施行.嚢腫は横隔膜,心嚢,右室側方に接しており,心膜と有茎性に連結していた.組織学的に嚢腫内面は一層の偏平または立方状細胞よりなり,外層は疎性結合織より成っていた.心膜嚢腫は比較的稀な疾患で,一般に無症状に経過する事が多い.穿刺排液では再発することが多く,悪性化の報告もあり,積極的に摘除すべきであると考える.

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