1996 年 57 巻 10 号 p. 2438-2441
症例は,腹部大動脈瘤で経過観察中に絞扼性イレウスを発症し小腸切除術を施行,その2日後に腹部大動脈瘤が破裂し人工血管置換術を施行した67歳男性である.一般に,汚染手術である消化器手術と人工血管置換術の同時手術は適当でないと考えられ,二期的に行う場合にもその間隔については統一した見解は示されていない.本症例では,大量の腸管壊死に対する消化器手術の53時間後に人工血管置換術を施行する結果となったが,術後重篤な合併症もなく良好に経過した.
消化器疾患と腹部大動脈瘤を有する症例での手術方法,また術後管理について言及した.