日本臨床外科医学会雑誌
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穿孔性多発性小腸憩室の1例
花沢 一芳谷 徹岡 浩遠藤 善裕柴田 純祐小玉 正智
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1996 年 57 巻 10 号 p. 2486-2489

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抄録

小腸憩室は,消化管憩室においてその頻度が約2.7%とされ,比較的稀な疾患とされている.今回著者らは,十二指腸より回腸末端におよぶ全小腸におよぶ無数の憩室のうちの一つが穿孔を呈した症例を経験した.
‹症例› 79歳女性で発熱,下腹部痛を主訴とし来院.入院後第22病日に腹部単純X線にてfree airを認めたが,手術に対する患者の同意が得られず,保存的治療を行い一旦改善したが,第101病日,再度free airが認められたため,小腸憩室の穿孔と診断し,手術を行った.穿孔部は回腸末端より約20cmの口側の憩室が穿孔しており,この穿孔部の小腸切除を施行した.小腸全体に多数の憩室を認めた報告は極めて稀である.穿孔を来した多発性小腸憩室の1例を報告し,若干の文献的考察を加えた.

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