1996 年 57 巻 11 号 p. 2746-2750
肝転移を伴う巨大直腸平滑筋肉腫を経験し, Miles手術および拡大左葉切除にて切除しえたので報告する.
症例は67歳,男性.排便障害・下血を主訴に来院した.注腸,内視鏡にて下縁が肛門縁より5cmに存在する潰瘍を伴う直腸粘膜下腫瘍と診断.針生検によって平滑筋肉腫と確診した.CT検査では骨盤内腔を占拠する巨大直腸腫瘍と肝S4に単発性のSLOが認められた. Miles手術および二期的に施行した拡大左葉切除にて切除した腫瘍は原発巣: 13×12cm, 肝転移巣: 10×9cmで,ともに中心壊死を伴っていた.
直腸平滑筋肉腫は比較的まれな疾患であり,多くは管外性に発育するためその症状の発現が遅い.それゆえ原発巣の早期発見とそれに対する根治的手術および肝転移の積極的切除が予後の重要な因子と考えられる.