抄録
長径15cmにおよび胸腹部に進展する巨大食道平滑筋腫の1例を経験したので治療を中心に文献的考察を加え報告する.
症例は34歳,男性で, 11年前に下部食道の隆起性病変を指摘されており,上腹部痛を主訴とした.上部消化管透視にてIm食道から胃噴門部にかけての狭窄と,胃体上部小蛮におよぶ隆起性病変を認めた.食道内視鏡では全周性の狭窄を呈するも,粘膜は正常であった.胸腹部のCTおよびMRIにて,食道内腔を全周性に取り巻くように発育し,胸腹部に進展する巨大な食道粘膜下腫瘍を認めた.手術は左開胸開腹横隔膜切開下に下部食道胃体上部切除,空腸間置術を行った.腫瘍は15×10.5×10cm大であり,病理所見で平滑筋腫と診断した.患者は第25病日に退院し,体重減少など食事摂取に関する術後不定愁訴は認めていない.