日本臨床外科医学会雑誌
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大量下血にて緊急手術を施行した肺癌胃小腸転移の1例
佐藤 篤司片岡 誠桑原 義之川村 弘之三谷 眞己隅田 英典木村 昌弘西脇 巨記成田 清加藤 丈博小山 浩正岡 昭
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1996 年 57 巻 2 号 p. 369-373

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抄録
肺癌の胃,小腸転移により大量下血をきたし,緊急手術を必要とした1例を経験したので報告した.症例は72歳男性.近医にて胃悪性腫瘍を発見され,手術目的で入院.入院時検査にて左B10の肺癌(大細胞癌)を発見された.入院後2週目より下血をきたし,保存的治療困難なため,緊急手術を施行した.胃前庭部に1個, Treitz靱帯より60cmから回腸末端より120cmにかけて計12個の腫瘍が存在し,これらすべての腫瘍から出血していた.胃周囲リンパ節,腸間膜リンパ節の著明な腫大を認めた.胃切除術および約260cmの小腸切除術を施行し,組織学的に肺癌の胃・小腸転移と診断した.肺癌の胃・小腸転移率は,肺癌剖検例では各々約4%と報告されているが,生前に転移が明らかとなり,治療が必要とされる症例はさらに少ない.
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