日本臨床外科医学会雑誌
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開心術後の抗凝固療法中に発症した肝・胆道癌に対する根治手術の2例
大村 泰木下 博明広橋 一裕久保 正二柴田 利彦金沢 景繁
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1997 年 58 巻 11 号 p. 2716-2720

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抄録

開心術後の抗凝固療法中に肝・胆道癌に対する根治術が行いえた2例を経験した.
症例1は68歳男.大動脈弁置換術後に十二指腸球部に浸潤した肝外発育型肝細胞癌と診断され,肝部分切除術および幽門側胃切除術が施行された.術後一過性に不整脈が頻発したが,トロンボテスト(TT) 50%以下で管理し,術40日後に退院した.
症例2は63歳女.僧帽弁および三尖弁置換術後に十二指腸乳頭部癌と診断され,膵頭十二指腸切除術が施行された.術2日後より難治性の腹腔内感染症を併発したが, TT 20%以下で管理し,術90日後に退院した.
両症例とも術48時間前に通常の抗凝固療法を中止,術中・術後はヘパリン・蛋白分解酵素阻害剤で,経口摂取開始後はワーファリンで管理され,術後出血や全身塞栓症等はみられず,長期の予後も良好である.

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