日本臨床外科医学会雑誌
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術前診断困難虫垂炎症例に対するヘリカルCTの有用性について
須原 貴志森田 敏弘加藤 浩樹熊沢 伊和生鷲見 靖彦上杉 治佐治 重豊
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1997 年 58 巻 2 号 p. 295-300

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抄録

ヘリカルCTは従来のCTに比べ体軸方向のデータの連続性に優れ,盲腸,回腸末端そして腫大虫垂の同定が容易である.そこで,術前に確定診断困難と思われる急性虫垂炎あるいはその疑診例を対象にヘリカルCTの有用性を検討した.対象は右下腹部痛を主訴として来院し,触診所見で急性虫垂炎が疑われた16例で,虫垂はヘリカルCT画像上盲腸から突出し盲端に終わる構造物として同定した.造影剤は使用しなかった.結果, 16例中9例に腫大虫垂が観察でき, 3例で糞石あるいは腹腔内膿瘍の存在が示唆されいずれも虫垂炎と診断した.他の4例では画像上いずれの所見も陰性で虫垂炎除外例と判断した.開腹所見あるいは臨床経過による検討で,正診率は100%であった.ヘリカルCTは従来のCTに比べ画像は鮮明で,体軸方向の連続性に優れるため虫垂の同定率は飛躍的に向上し,手術適応の有無の決定と術中の虫垂位置確認にも有用であった.

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